肝と更年期 – 東洋医学が示すバランスの取り方

更年期の女性が経験する心身の変化は多岐にわたります。

更年期症状の原因を東洋医学の視点から捉えると、五臓六腑のバランスの乱れが影響していると解釈できます。

その中でも重要な役割を担うのが肝です。肝は感情の安定や体調を整える役割を持っています。

今回は、更年期における肝の働きと、肝を健康に保つための東洋医学的アプローチについて詳しくご紹介します。

更年期とは?

更年期は、閉経前後5年ずつの期間を指し、一般的には45歳~55歳前後のことが多いです。

更年期は体内のエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少し、それにより体や心に様々な不調が出現します。

このような症状は、東洋医学では五臓六腑のバランスが崩れた結果と考えられます。

東洋医学における肝の役割

五臓とは、肝・心・脾・肺・腎を指し、内臓そのものではなく自律神経などを含めた広い機能・概念です。

全ての要素が相互にバランスを取ることで、心身の健康を維持しています。

東洋医学では、肝は体の活動をスムーズに行うためのキープレイヤーとされています。

肝は「気」の流れを司り、気の滞りが生じるとストレスやイライラを感じやすくなるとされています。

また、肝は血液を貯蔵し、栄養を全身に運ぶ役割も果たしています。これにより、肌のツヤや髪の健康も保たれます。

更年期は、思春期の子供とのコミュニケーションに悩む方が多い時期でもあり、そのストレスが肝に影響を与え、急に気分が落ち込んだり、体調を崩したりすることがあります。

更年期と肝の関係

更年期の女性は、ホルモンバランスの変化により、感情的な不安定さや体調不良を経験することが多いです。

肝が不調に陥った場合、以下のような症状が出ることがあります。

肝が不調な際に起きる症状に当てはまらないかチェックしてみましょう!

  • 体温の変調
  • めまい
  • イライラ
  • 不安
  • 下痢
  • 突如涙が出る
  • 何もないのに怒りが湧いてくるよう

東洋医学的な肝の健康維持法

肝の健康を維持するためには、適度にストレスを解消し、ウォーキングやヨガなどの軽い運動習慣をつくることが重要です。

例えば、週に一度は自分だけのリラクゼーションの時間を作るなどするとよいでしょう。

また、食生活や運動習慣も肝の健康に寄与します。肝を元気にする食材も、以下の通りご紹介しますので、積極的に食事に取り入れることを心掛けましょう。

<肝を元気にする食材>

  • あさり
  • しじみ
  • 牡蠣
  • いか
  • レバー
  • トマト

更年期症状の緩和に向けた漢方薬

更年期の症状を緩和するために、漢方薬の服用もまた有効な対処法の一つです。

補肝益気湯や加味逍遥散は、肝の機能をサポートし、気の流れを良くするとされています。

補肝益気湯は、ストレスやイライラが強い時に服用することが推奨されます。

一方、加味逍遥散は、体調不良や冷え症、便秘に効果があるとされています。

ただし、漢方薬は個々人により体に合うもの、合わないものがあることから自己判断での服用は避け、必ず医師の診察を受診した上で服用することを推奨します。

更年期の不調は、ライフスタイルの改善や適切な医療的対策を講じることで、その症状は軽減されます。

自身の身体と向き合い、適切な対策を見つけていきましょう。

そして何より、自分一人で抱え込むことなく、医師を始めとする専門家と共に適切な対策を見つけ出していくことが重要です。

この記事を書いた人
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